最近、シニア世代の離婚が増えてきております。いわゆる熟年離婚というものですね。数年前から2倍程度増加しています。私の事務所でも、定年間際の方や、定年後の方などの離婚のお話をお聞きすることが多々あります。
まず、熟年離婚がなぜ増えているのか?
これは、色々な原因はあるかと思いますが、女性の社会進出が多くなり、離婚をしても経済的に大きな問題が生じないこと、また年金分割制度により、将来受け取る年金が以前のように少なくなることがないことが原因のひとつと言われております。
ただ一方で、上記のような原因ではなく、今まで仕事で忙しく家庭のことを奥様に任せっきりにしており、そろそろ定年又は定年後に、家庭を振り返り、「こんなはずではなかった・・・」ということで男性側から離婚を考える方もいらっしゃいます。
このように熟年離婚に至る原因は様々ですが、相対的に高齢化になり、人口の割合から増えていることも要因の一つと私は考えております。
そして熟年離婚となると、通常のと言うと変ですが、30代や40代の離婚と比べて、築き上げたものが大きい為、離婚も大変です。
結婚は、夫婦で築き上げるもの、離婚は、築き上げたものを崩すことと私は考えております。築き上げることは、それほど意識せずともいわば勝手に築き上げられていきます。悪くも良くもです。ただ離婚は、築き上げたものを自然と崩すのではなく、自らが崩していかなければなりません。
建物に例えましょう。土地があり、建物を建築するのに着手します。基礎が出来たところで「やっぱり建てるのをやめて更地にします」と言う場合と、建物をどんどん建築して、5階建てのビルぐらいになったときに、「やっぱり建てるのをやめて更地にします」と言う場合と、どっちが大変でしょうか?お分かりのとおり5階建てのビルを崩して更地にする方が大変ですよね!
このように夫婦生活が長ければ長いほど、夫婦で築き上げたものは大きくなり、それを崩す(離婚)ためには大変な労力や問題が生じてきます。
私は、行政書士ですから離婚協議書の作成が業務です。このように熟年離婚となると崩す作業が多くなりますから、協議書の中身も多くなり、当然ですが話し合いの内容も多くなります。大変です。
せっかく築き上げたものです。つらい時も悲しいときも、楽しいときも嬉しいときもあったことでしょう。もし熟年離婚をお考えの方がいらっしゃれば、どうしようもない場合もありますが、ちょっと今までの思い出を振り返って考え直してみてもらえると嬉しく思います。
そして一方で、シニアになってからの再婚もあります。嬉しいことですよね!ただ、再婚となると、場合によっては子供がいる場合があります。いやらしい話ですが、そうなると相続の問題も生じてきます。再婚をすると、相続時の第1順位の法定相続人は配偶者と子供となります。配偶者がいなければ、子供のみです。お分かりになりますか?子供にとってどういうことになるか?ここで、子供の理解が得られなければトラブルへと発展します。
最近、こういうトラブルが増えてきているようです。残念ですね。