偽物の化粧品 キープサンプル(保存品)について

前回の偽物の化粧品について、製造記録が大切というお話をしました。今回は、もう一つ対応策をお伝えします。これは医薬品では義務であり、当たり前のことです。

それはロット毎に保存品を残すということです。化粧品製造業許可を取得して間もない会社様は保存品って何?と思われるかも分かりません。保存品はいわゆるキープサンプルのことです。以下、キープサンプルと言います。

化粧品ではキープサンプルを残す義務がありません。ただ、じゃあ残さなくても良いのか!と言われる会社様もいらっしゃいます。もちろん義務ではないので、それだけをもって違反とまでは言われませんが、私はそれはちょっと・・・と言っております。

と言いますのはキープサンプルは「市場にある製品との同一性を確認するため」という理由があるためです。これは前回の製造記録より強力に偽物との見分けが付きます。よって化粧品では義務ではありませんが、残すことをお勧めしております。

このように弊所は製造販売業から製造業まで、様々な疑問を長年解消し、アドバイスをさせて頂いてきました。許可は取ったけど、どうすれば良いのか?これで5年後の更新調査は大丈夫か?とご不安に思われている会社様をサポートしておりますので、何かお困りのことがあればご相談、ご依頼頂けますと幸いです。

偽物の化粧品から製造記録について

海外コスメは安価で面白い物が多く、人気はあるようです。しかし偽物があることもあり、慎重に購入することをお勧めします。

本物であっても、許可を得た会社ではない会社が製造販売しているケースがあります。実際、私はその製品を見たことがあります。おそらく個人輸入し、同じ製品で市場に流通している製品(いわゆる合法的に輸入した製品)の表示をコピーしてラベルを貼り付けていたと言う事例です。

この場合、製造販売元を調べると許可を得た会社が出てきますから、許可を得た会社が法令に則り、輸入した製品か、全く知らない会社が無許可で輸入している製品か区別が付きにくい状態となります。そしてその製品を使用し、万が一健康被害が出た場合は、だれも責任を負ってくれません。購入代金や治療費など一切の保証をしてもらえません。一番の被害者は消費者なのですが、私は化粧品会社をサポートしておりますので、今回は自社の製品の偽物が出た場合に、会社に責任を負わされない為の対処法の一つをお伝えしようと思います。

まず許可を得た化粧品会社は輸入をする場合は、日本の化粧品製造業者の倉庫(製造所)へ一旦、保管されます。そして、製品に日本語表示ラベルを貼付するなどし、試験検査を経て問題がないと判断した製品しか、出荷はしません。この際に製造業者は「製造記録」という記録を残す義務があります。ただこの製造記録には国などが定めた様式などはなく、各社が品質を担保(保証)するために必要な事項を定め、記録を残します。

記録内容に定めがないため、完璧な製造記録もあれば、一応記録はあるが記録内容が薄い製造記録もあります。どうすれば意味のある製造記録になるか?という点は各社様々ですから、ここでは申し上げられませんが、一つ、貼付したラベルを製造記録に残すことを行って頂きたいと思います。これが偽物が出た場合に非常に役に立ちます。と言いますのは、いくら同じようなラベルを無許可の業者が作成しても、全く同じ物は作成できないので、この記録のラベルと偽物のラベルを見比べると違いが出てくるため、ここで会社として「これは私の会社が輸入した物ではない」と言えます。

このように製造記録は偽物を見破り、責任回避の手段としても役立つ記録書類となります。私が様々な化粧品様をサポートしていますと、GQP・GVPに関する記録書類に重きを置いているケースが多く、製造記録や試験検査成績書については結構おろそかになっていることがあります。

ただこのように製造記録や試験検査成績書は非常に大切な記録であり、おろそかにすると会社に損害が生じる恐れもあります。化粧品製造販売業者様、製造業者様、今、製造記録や試験検査記録はおろそかになっていませんか?そもそも作成していないなんてことは無いですか?作成していない場合は法違反に問われかねません。作成しても内容が雑だと、作成の意味をなさない場合もあります。せっかく製造記録を残すのであれば意味のある製造記録にしましょう!もし作成方法などにお困りであれば、弊所へ一度ご相談ください。

業者コード登録について

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の許可申請を行う前には「業者コード」と番号を登録(発番)してもらわなければなりません。この業者コードですが以前は登録票をFAXで都道府県経由で厚労省へ送り、都道府県からFAXで返ってくるといいう流れでした。

しかしデジタル化の影響でしょうか、数年前からe-Govというシステムで業者コードを取得する流れとなりました。当初は、申請してから1日程度で登録されていたのですが、最近は申請をしてから1週間しても登録(発番)されません。あまりにも遅いので厚労省へ問い合わせた所、作業に慣れていない、人的ミスがあり遅くなっているなどという理由でした。

人的ミスはたまにはあるかと思いますが、作業に慣れていないというのはどういうことでしょうか?私の知る限り20年以上も前から始まった制度で、今更ながら作業に慣れていないという理由は納得が出来ません。しかしそれを厚労省へ伝えても「申し訳ない」の一点張りです。

新規でも急いで許可が欲しいと言うケースもあり、また変更となると30日以内に変更届書を提出しなければなりません。これは国が定めたルールです。これを超えると原則として法違反となります。ですから、業者コードが早く登録されなければ30日を超えてしまうのです。

許可業者は「人事異動で担当者が作業に慣れていなかった」などという理由で遅れることは通用されません。ところが厚労省は、このような理由が通用するのですね!

約20年近く、薬事に関する業務をさせていただいていますが、このようなことは少なからずあります。納得は出来ませんが、仕方ないと言えば終わりです。私は行政書士として、ただ単に許可申請を行うだけでなく、皆様が安心してスムーズに手続きが行えるように、このようなことに対しても、国などに意見・要望を伝え、改善を求めていこうと思います。

長嶋茂雄様、ご逝去

今朝、緊急ニュースで長嶋茂雄元巨人監督がお亡くなりになったとのニュースが流れました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

私は巨人のファンではありませんが、国民的英雄とも呼ばれていた方の訃報に残念な気持ちです。私も歳をとったのか、私の中で好きだった方がどんどん亡くなっているようで悲しくなります。野球界では、星野仙一様、野村克也様、そして芸能界では志村けん様、谷村新司様、西田敏行様、中山美穂様・・・、テレビ、映画、音楽と毎日のように見たり聞いたりしていた方が亡くなるのは、非常に悲しいものですね。

人は生を受けた日から死へ進んでいると、哲学的ですが聞いたことがあります。老いから死へ、この普遍的な事実を人はなんとか伸ばし、そしていつかは死ということがなくなるような様々な医療などの研究が進んでいるようです。この中で老いについては、私が今、専門業務にしている化粧品も少しは貢献しているかと思います。もちろん、アンチエイジング(老化防止)という効果は化粧品にはありません。しかし、少しでも若く見せる、化粧品自体に老化防止効果は無くとも、結果的に保湿等を行うことで少しでも肌の老化が1年でも遅らせることは、あるのではないかと思います。

化粧品はあくまで「効能」しかありません。「効果」はないのです。こう言うと、意味が無いように聞こえますが、効能というのは荒っぽく言うとプロセスをサポートするイメージです。プロセスですから、結果は分かりません。良い結果が出ることもあれば、何ら結果が出ない場合もあります。一方で効果は、結果です。もちろん結果が出ないことも対人間の物ですからありますが、一定の試験データにより立証はされております。

つまり化粧品には効果が無く効能しかないと言うと意味がないように聞こえますが、人によっては効果が出るのが化粧品です。上手く自分に合う化粧品を使えば、結果が出ることもあります。合うか合わないかは使ってみないと分かりませんが、ただここが面白い所でもあると私は思っております。

効果がある物には医薬品と医薬部外品があります。しかし医薬品も医薬部外品も成分はほぼ同じです。国が定めた有効成分で、名称が違ったり、多少、配合量が多いか少ないかと言う程度です。一度、ドラッグストアに行って鎮痛剤の成分表を見てみてください。ほぼ同じであることが分かると思います。これは医薬部外品も同じです。

一方で化粧品は、似たものは多くありますが、千差万別です。これは医薬品や医薬部外品と違って、国が定めた成分という物がなく、配合禁止、配合制限を守れば、極端な話、何でも配合は出来るからなのです。また販売するまでに「承認」という国の制度を不要としていますから、昨日の夜思いついて、1週間で製造、出荷なんてことも不可能ではありません。

ここが化粧品の面白さだと思っております。