行政手続きの電子化について(マイナンバーカードも)

最近ニュースではよくマイナンバーカードの健康保険証の紐づけのミスにより、無保険扱いなった、違う人の顔写真になっていた、違う住所が紐づけされたなどの報道が出ています。皆様はこのマイナンバーカードについてどのようにお考えでしょうか?
私はマイナンバーカードに健康保険証や銀行口座への紐づけを否定していません。近い将来、このようなシステムに変わることは時代の流れであり方向性として間違っていないと思います。しかし、少し拙速すぎるのではないでしょうか?

まず健康保険証の紐づけをするのであれば、それだけを行い、かつ1年や2年ではなく、3年、5年という長いスパンで移行期間を設け、その中から出た問題点や国民の意見を聞き、完全に移行する(現在の健康保険証の廃止)という流れが必要なように感じます。

ここまで急ぐ理由がどこにあるのか?説明がないのも不信感を抱きます。また移行期間があまりにも短く、しかも半ば強制的に行おうとしている所も、どうも解せません。こうなると、裏があるように感じてしまっても仕方がないように思います。

さて私が専門業務としている化粧品関係の申請や各種届についてもオンラインによる手続きが可能となっています。弊所も1年ほど前に事前準備はしたのですが、使い方がイマイチ分からず、そのまま放置の状態でした。

しかし最近、せっかくお金をかけて準備をしたので、使ってみようと思い、少しずつですがオンラインによる申請や届出を行うようになってきました。ところが申請や届出を提出する先は各都道府県で、都道府県により必要書類が違ったり、手続きが違ったりしており、中にはオンラインで申請をする必要性が感じられない場合があります。

必要性を感じられない理由の一番は申請時の手数料についてです。都道府県の中には、振込等でおこなえる場合もあるのですが、ある都道府県では証紙を購入しなければならない場合や、ひどい都道府県ではオンラインで申請した後に、手数料だけを窓口へ出向き支払わなければならないケースがあります。これではオンラインの意味がないのではないでしょうか?「手数料だけ窓口に行く」のであれば、何も前もってオンラインで申請をしなくても手数料を払いに行く際に申請書を提出すれば良いわけですから。民間でこのようなことをしたら、あきれ返って二度と御社を利用しないという気持ちになる方が多いのではないでしょうか?

これについてもマイナンバーカードと同様に国の拙速過ぎと準備不足が否めません。厚生労働省は申請時に手数料を支払うことは当然ながら知っているわけですから、オンライン申請を行うという制度を構築する際に考えなかったのでしょうか?まずは地方自治体に手数料の電子決済等に対応させることから始め、それが整ってからオンライン申請を開始すべきではないでしょうか?

このようにコロナからテレワークの普及、そしてオンラインが叫ばれるようになり、国はデジタル庁なる組織を作り国家としても今どんどんと様々なものが電子化されつつありますが、我々国民にとって国や地方自治体は選べません。国の対応が悪いからと言って、第2の国に申請はできません。携帯電話会社などであれば不便さや不祥事などがあると違う携帯会社へ変えれば良いだけです。ただそうはいかないのです。であるならば、慎重にミスは絶対許されないという姿勢で臨むべきではないでしょうか?

今日、河野デジタル大臣が「最初は色々あるがいつかはより良い制度になるようになり、良かったと思ってもらえるはずです」のような発言をされていました。こんな姿勢で民間企業が制度を作ったらどうなるでしょうか?
「今は色々トラブルはありますが、いつかは良いシステムになりますからご契約をお願いします」と言って契約をされますでしょうか?おそらく「ならば良い制度になったら契約します」となるのではないでしょうか?

国民には色々な考え方の方がいらっしゃいます。多少のトラブルがあっても新制度を利用したいという方や、様子見をしてから新制度を利用したいという方など。繰り返しになりますが、国民は国と地方自治体を選べません。であるならば、せめてトラブルがなくなるまで、国民には選択肢を与えて頂きたいと思います。