化粧品製造販売業及び化粧品製造業の運用の難しさ2

前回のブログで、化粧品の許可後の記録書類等々の運用の難しさをお話しました。

今回は、届出名称についてお話をしたいと思います。

許可を取得され、既に製造販売をされている方は「届出名称」と聞いて、すぐに何のことかお分かりになるかと思います。まだ許可を取得されていない方は、「???」となるでしょう。
まず届出名称とは、許可を取得後、化粧品を製造販売する前に「化粧品製造販売届書」という届出を行わなければなりません。これを怠り(忘れ)、製造販売した場合は、すべて自主回収となります。
つまり許可後「こういう化粧品をこれから製造販売します」ということを、各都道府県へ届け出なければならないのです。

その時に化粧品の「名称」ももちろんですが、届け出ます。
この名称は何でも良いわけではなく、一定のルールがあります。しかしこのルールが曖昧で、かつ都道府県により解釈が違います。これがまた頭を悩ませることとなります。

はっきりと分かりやすいルールの一つは「配合されている成分を名称の中に入れてはいけない」というルールです。これは簡単で、どの都道府県もまず一緒です。例えば、コラーゲン配合の化粧品を製造販売しようと思い「コラーゲン化粧水」という名称で届け出ると、まず受付が不可となります。こういうのは具体的ですので簡単で分かりやすいです。

しかし中には「虚偽・誇大な名称あるいは誤解を招くおそれのある名称は用いないこと」というルールもあります。虚偽に関しては届出時には分からないので、企業責任において、虚偽にならないようにしなければなりません。後で虚偽であることが判明すれば、自主回収もあり得ますし、消費者庁の指導もあり得ます。ただ一旦は届出は受け付けられる可能性が高いでしょう。ただ「誇大」「誤解」となると、これは抽象的であり、捉え方や前例(必ず前例が優先されるわけではなく、同じ都道府県で、例え前例があっても急に不可になる場合もあります)により判断されます。

具体的な例を少しあげましょう。
「ABC高濃度美容液」これはどうでしょうか?誇大と言われかねません。ただ都道府県により時に受け付けられることがあるかも分かりません。
では「ABCプレミアム美容液」はどうでしょうか?これは比較的、どの都道府県でも受付されます。
次に「MOST神戸美容液」(MOSTは「最も」という意味)はどうでしょうか?これは、ある都道府県では受付されません。

誇大かどうか?というのが判断の基準となる例をあげました。難しいですよね・・・。

ちなみに新型コロナの時期には「ハンドクリーンジェル」は、アルコール濃度により不可となったこともありました。

このように、名称を決めるだけでも、色々頭をひねらなければなりません(これは化粧品だけの問題ではなく医薬部外品も同様に一定のルールがあります)。

薬事関係の許可後の運用って、ほんとうに難しいですよね・・・。
今日は、届出名称についてお話をしました。

詳細はこちらのサイトをご覧ください。
https://www.office-ihara.com/kesyou/